泰斗

「泰斗」とは、泰書會が毎月発行している機関紙になります。書道教室の教材としても利用しております。
人の仰ぎ尊ぶ泰山と北斗星。
学問・芸術などの最高権威者にたとえる。泰書會における高い理想の姿、それに立ち向かう志を持つことを願ってこの名称をつけました。

《「書」における三つの要素》
巻頭言のタイトルとして掲げましたが、これは思いつきというか日頃考えていたことで今回改めて述べます。また時期を見計らって同じ様な「三つの要素…」を書くかも知れません。然し、人間の考えは、根本は変わらずとも、その時代、環境、年齢によって変化があります。考えも変わります。だから成長があります。変化無くして成長はないでしょう。

さて、三つの要素とは…。

第一に、自分の中に無限の豊かさがあることです。「書」は確かに人様のものを見て、それを参考にして書き上げていくものですが、実は自身の中に無限の力があり、余り他者に拘り過ぎてもいけません。豊かなものは自分の中にあり、それを探すことかも知れません。そこに「書」の面白さがあります。

第二に、高みに向かって努力することは決して無駄ではありません。現在、無駄なことをしている様で、それは実は高みに向かっている証でもあります。今は程遠いと感じていても明日には一歩前に進んでいることは間違いありません。それが「書」でもあります。

第三に、精神がより高くなっていけば、その精神が健康であればあるほど自身の人生の格が上がるということです。自身の繊細さを見分けられれば、それがご自身の本当の「書」でもあります。

以上、述べましたこと、実はある本からのヒントでした。うなずけるものが沢山あり、「書」に全く関係の無い内容でしたが、実は人間の行為と言うのはさほど変わらないのではないでしょうか。人間は人間の範疇でしか動けないから、違っているようで同じではないでしょうか。人間の心は無限の様です。自分の中にその無限さがあるということを気づかされました。

泰書會会長 柳田泰山